弁護士費用
その業務が法的問題についての法的助言(法律)をさせて頂く法律相談なのか、それとも当該案件の解決をお引き受けするのか(受任)によって大きく異なります。
[第1]
案件のご依頼をお引き受けする場合―その案件が紛争のある場合には頂き、以下、着手金・報酬の説明をご覧ください。
着手金・報酬について
- 事件の依頼を受けたときに弁護士がいただく料金としては、着手金・報酬金及び実費があります。このうち、実費のご説明は除くこととして、着手金及び報酬についてご説明をさせていただきます。
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着手金とは、事件の依頼を受けるにあたって、弁護士がお客様から頂戴する料金です。その着手金に基づき、弁護士は、その事件の正しい解決のために尽力するということになります。
報酬金については、事件が解決した時に、その解決内容が、お客様にとって、その権利あるいは経済的利益を満足させることのできる内容であった場合には、その現実に守ることのできた権利あるいは経済的利益の額如何によって報酬金を頂戴することとなります。
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当法律事務所は平成16年3月31日まで効力のあった茨城県弁護士会報酬規定を準用させていただいております。それによれば次の通りとなります。
[表]民事事件の着手金及び報酬金 経済的利益 着手金 報酬金 300万円以下の場合 8% 16% 300万円を超え3000万円以下の場合 5%+9万円 10%+18万円 3000万円を超え3億円以下の場合 3%+69万円 6%+138万円 3億円を超える場合 2%+369万円 4%+738万円 -
名誉毀損や離婚事件など経済的利益の算出が困難な事件については別途算出させていただきます。
すなわち経済的利益が算出不可能な場合は、訴額を800万円とみなして着手金・報酬額を算出する。但し、800万円とみなすことが事案の紛争の実態に反して著しく明らかに妥当でない時は事案の紛争に内容を合致したかたちで料金を改める、ということになっています。
案件としてご依頼を受ける内容が、紛争性のないもの、すなわち調査研究、契約書の作成などの場合は、原則として、タイムチャージシステムをとらせて頂きます。(第2法律相談料参照)
[第2]
法律相談料―30分5,000円
但し、法律相談の中に特別な調査を要する事項が含まれている場合には、その旨ご指摘申し上げますのでその場合はいわゆるタイムチャージシステムを採らせて頂きます。タイムチャージシステムとは単位時間毎(例えば60分)の料金を定め、要する時間を掛け合わせて費用を算出するものです。
弁護士報酬が不明確な理由
弁護士報酬が、ともすると、何故不明確と言われるのか。その理由は、本頁を読み通していただければある程度理解していただけると思います。ただ、ここでは最も根本的な原因となるものを説明させていただきます。
それは、弁護士の仕事は、弁護士限りにおいて行うものではなく、相手方が存在し、その相手方との手続きを行うことが弁護士の仕事の中心であること、そのことに基づくのです。
利害の対立する相手方がいる以上は、依頼者から最初に相談を受けた時にたてた見通しのとおり事がはこばないことがあります。相手方との交渉や裁判を進めていく過程で、新たな問題が浮かび上がってきたり、新たな対応や手続きを迫られることがあります。
相手方がどう出てくるのか完全に見通すことは、およそ不可能なのです。
このように弁護士の仕事の中心は利害する相手方との交渉などの手続きであり、その交渉のプロセスが、いかなるかたちで展開していくかは、予め完全に見通すことはできないものですから、争われている利益が何であろうかといったことや、今後、いかなる手段手続を行っていくかということについて、流動的であることを免れることはできない、故に報酬についても流動的な部分がでてきてしまうということになるのです。
このことを建設会社のお客様である注文主からいただく建築請負代金と比較してみたいと思います。
建築請負代金の場合にはその建物にいかなる資材をどれだけ用いるかということ、及び大工さんなどの職人さんなどの職人をどれだけ投入するか、ということから工事原価が定まります。それらに適正な利益分を加えて、適正な工事請負代金が定まってきます。すなわち目指すところは、ある特定の建物の建築であり、結果が明確です。その結果を妨げる存在である、利害の対立する相手方という存在はありません。
次にお医者さんの診療報酬と比べてみたいと思います。お医者さんの診療行為が非常に高度な知的業務であるということについては弁護士の仕事と類似点があります。しかし、その目的とするところは、弁護士の仕事よりも目標設定がしやすい仕事です。すなわち、例えば心臓のバイパス手術を例にとれば、患部を切除し、そこをバイパスでつないでしまうということです。目標は担当医師の判断によって設定することができ、それを妨げる第三者(利害の対応する第三者)というものは、もともと存在しません。
弁護士の報酬が不明確だといわれるもう一つの大きな原因は、そのトラブルによって争われている利益(これを係争利益と呼びます)を把握することが容易ではないという場合があるということです。
例えば、AさんがBさんに100万円を貸したが、返してもらえないという場合を考えますと、その場合の争いになっている利益は100万円です。ところが、AさんがBさんに土地を貸したが、約束の期限になっても土地を返さないで、あろうことには、そこに自分の工事用の倉庫を建ててしまっている、という場合はどうでしょうか。
Aさんの土地を違法に占拠している場合を考えますと、この場合の係争利益は何かと考えても一般の方はピンとこないと思います。この場合の係争利益はAさんが持っている土地の所有権の価格となります。その為には土地の価格を調査しなければなりません。
さらに、係争利益の把握が困難な事例は他にもあります。例えば、A社の業務に関し、トラブルとなったB社がA社を誹謗するビラをまいたりして、A社の業務を妨害している、というケースを考えます。
この場合の係争利益は何か。
金額で表そうとすれば、このトラブルでA者が蒙っている不利益は業務が妨害されているということからしますと、業務上の利益の低下ということ、A社の信用の低下となろうと思います。しかし、これを数字で表すことは大変に困難なことです。
以上のようなことを考える時、我々弁護士は報酬について、できるだけ明確にしなければならないことはもちろんですが、業務の性質上の不明確さが伴ってしまうことも現実なのだという点を理解していただきたいと思います。